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【コラム】ハンドメイドの価格設定

 ハンドメイド作品の価格設定は非常に悩むところ。ざっくり言えば、趣味の範囲だから材料費の回収ができればいい(もしくはちょびっと利益があればいい)、というパターンなのか、副業にしても専業にしても仕事として利益を出していきたいのか、のどちらかだと思います。

 ここでは、価格や利益を計算する上で考慮すべき要素、具体的な価格設定のやり方、さらに売り方の3部構成でお話したいと思います。

目次

価格や利益を計算する上で考慮すべき要素

 まずは、価格や利益を計算する上で考慮すべき要素があります。単純にこれいくらにしよう、ストラップだし600円程度かな、とざっくり考えるのではなく、ちゃんと考えて計算しなければならない要素はたくさんある、というお話です。

 まずは単純に材料費という意味での原価。これはハンドメイドの原価計算を読んでもらえればいいかなと。では他にどんな要素があるのか。

 設備・備品の費用。UVランプとかピンバイスとか。もっと言えば電気代とか。ネットショップであればショップの運営経費とか、配送費用。配送費用に関しては、別途送料を貰って経費としては考えないようにするのか、あるいは全品送料無料にして作品の販売価格に転嫁するのか。

 イベントなら出店料はもちろん、販促資材の購入費用だったり、イベント会場までの交通費だったり。委託販売であれば、委託が月額制なのか売上に対する%計算なのか、その両方なのか。納品は郵送なのか(郵送費は?)持込みなのか(交通費は?)、売上金の受け取り方法は?(振込なら手数料はいくら?)などなど。

 あとは自営業あるあるですが、計算するのを忘れている、というか考えないようにしてしまっているケースが非常に多いのが、自分の稼働時間に対する報酬。例えば神奈川県の最低時給は983円(平成30/2018年度)です。作品1つ作るのに集中して1時間かかったから983円欲しいとか、1時間テレビを見ながら片手間で作ったから400円でいいやとか、6時間のイベントに出店したからいくらとか、普通にバイトをしていれば時給に当たる部分ですよね。

 このような要素全てを考えた上で作品の価格と利益を計算していかなければならないんですよね。これらは直接の材料費と違って厳密に作品1つひとつに金額を決めて反映するものではありませんが、単純に材料費だけで利益を計算したときに微々たる利益しか出ないような(材料費100円のものを200円で売るような)価格設定にしてしまうと、上記のような費用を賄うことができなくなってしまいます。

価格設定の仕方

 続いて、価格設定の仕方を考えてみたいと思います。具体的には以下3点についてのお話です。
・最初は売れること自体がモチベーションにつながるから安くしておく
・他の人の価格設定に合わせる
・安ければ売れるというものでもない

 最初は売れること自体がモチベーションにつながるから安くしておくという考え方は間違ってないですが、正直これはオススメできないと思っています。というのも、あとから値下げするのは簡単ですが、逆に値上げするのは難しいからです。

 ハンドメイドなので一般の商品とは違うとはいえ、例えばたまたま材料の関係で再販可能な500円のストラップが安定的に売れているから600円にすれば利益が増える、と考えて価格を上げてしまうのは、あまり印象はよくないですから。

 どの作品でもいいから売れさえすればモチベーションが維持できると思うなら、最初から集客用に材料費的にも時間的にも低コストで制作できる作品をいくつか用意して、それを低単価で売ると割り切るのも1つの手だと思います。

 次に他の人の価格設定に合わせるという考え方。仮に同じ「粘土」の「ブローチ」というカテゴリで「同じような材料」を使っていたとしても、全く同じということはないでしょう。デザインまで全く同じだと盗作だなんだと別の問題が起きますが、仮に全く同じ作品だとしても材料の仕入れ先が違えば原価も違います。作業スピードも人によって違うので、時間的なコストも異なります。

 他人の価格設定を「参考にする」のはいいとしても、「完全に合わせる」必要はないと思います。というか、他人を気にしすぎて完全に合わせてしまう人が多いから(本当は700円で売りたいけどみんな500円だし…みたいな)、材料のカテゴリ(レジン、粘土)や作品のカテゴリ(ストラップ、ピアス)に対する変な市場相場が出来上がってしまっているような感じがします。

 続いて安ければ売れるというものでもないについてですが、需要がなければどんなに安くても売れないという話です。例えばイベントに行って300円のピアスがあったとしたら、価格的には気軽に買えますよね。ですがそもそもピアスをしない人は買わないです。逆に作品を気に入ってくれたら、欲しいと思ってくれたら、ある程度の金額を出しても買ってくれるはずです。

 結局のところ、とりあえず自信を持ってこの価格でいく!と決めて、最初はその価格で挑戦してみるのが一番。作品が売れるか売れないかは価格の問題だけではありませんから、あとはその価格で売るための努力(ネットショップなら写真、イベントなら陳列の仕方など)をするかどうか、だと思います。どう頑張っても無理だったから値下げする、のは簡単ですから。

番外編:売り方

 続いては番外編。価格設定というか売り方の話です。
※以下細かいことは抜きにしてざっくり説明します。専門的な突っ込みはご遠慮下さい。

 私は元々スーパーやコンビニの仕事が長いからか、常に客単価と買上点数を考えるようにしています。売上を上げるためには色々な要素が絡んできますが、例えば客数。その日来店したお客様の総人数が総客数。その中で購入してくれた人数が買上客数となりますが、客数って増やすのは大変だし、どう頑張ってもある程度のところで頭打ちなんです。限られた買上客数で売上を上げるためには客単価を伸ばすのが一番。今店にいるお客様に買ってもらうだけですから。

 例えば、客数100人で考えると、客単価が(厳密には平均客単価ですけど)、
・100円なら、売上は1万円
・500円なら、売上は5万円
・1,000円なら、売上は10万円
です。客数が同じでも、客単価が高くなればなるほど売上は上がります。

 では客単価を上げるためにはどうするのかというと、これにはいくつかの方法があります。その中でも今回取り上げるのは「買上点数を増やす」こと。1人のお客様が1個よりも2個、3個と買ってくれれば、自然と客単価は上がります。買上点数を増やすにはどうすればいいか。

送料無料の金額を設定

 例えばそのお客様が欲しい作品が2,000円だったとします。でも送料無料になるのが2,500円以上だった場合、500円以上の作品を探して一緒に買ってくれる可能性があります。

 例えば今回の場合、2,000円の作品の送料が200円なら、2,500円まで買うより送料払った方が(2,200円なので)安いです。ですが、「送料」に対してお金を払うのはもったいない、それだったらちょっと高くなっても作品を買う、と考えるお客様は多いです。

関連作品を提示する

 どの作品であっても、その人の中で既に購入したいという意思が固まっている場合、同時に財布の紐が緩んでいる状態ともいえます。そんなときに関連作品の紹介があったら一緒に買ってもらえる可能性があります。

セット作品(もしくはセット割)を作る

 例えば、放っておいても売れるというか手に取って見てもらえるような人気作品を中心にセットを組めば、単品では売りにくい、目立ちにくい作品を手に取ってもらうことができます。同時に単品でAという1,000円の作品を購入するだけのつもりだったお客様に、ABのセット1,500円という単価の高いものを買ってもらえる可能性があるわけです。

まとめ買い割引

 例えば「1個300円、2個で500円」、「1個400円、3個で1,000円」みたいな売り方、よく見かけるんじゃないでしょうか。お友達と2人でお揃いなんかいかがですか?って売り方もできますよね。2人のうちどちらか1人が興味を持ってくれれば、大体もう1人を巻き込んで買ってくれます。

特典を付ける

 ○○円以上購入で無料のおまけを付けるパターンですね。

目玉作品を用意する

 スーパーなんかでよくやってる手法ですが、例えば卵1パック98円の広告、よく見ると1,500円以上とか2,000円以上お買い上げのお客様限定になってますよね。卵に限って言えば赤字なんですが、他に利益の取れる商品を一緒に買わせることによって単価を上げたり全体で利益がプラスになるようにしてます。

お店全体での数字

 作品1つひとつの価格を悩んで決めることも重要なんですが、売り方とかお店全体での数字を考えていくことも非常に重要です。

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